スピーカーまたはラウドスピーカー (loudspeaker) は、音楽・音響等の低周波電気信号を、機械(物理)振動に変えて音(可聴音)として聞かせるように設計された変換器である。略称「SP」。エレクトロニクス系の業界用語では「ラッパ」と呼ばれることがある。
基本的な構造
内部構造:右端の振動板で空気を振動させ音を出す
スピーカーの振動板(コーン紙)広く使われている代表的なタイプのスピーカーである、ダイナミック型スピーカーの構造について述べる。
細い金属線を筒状の紙などの軽量の不導体に規則正しく巻いて作ったボイスコイルを、その内径よりわずかに小さい円筒状の永久磁石にかぶせ、お互いが接触しないように保持する。この状態で、ボイスコイルに電流を流すと、フレミングの左手の法則により、ボイスコイルにモーメントが働く。このボイスコイルに、振動板を付けることにより、空気を振動させて、人間の耳に聞こえる音を発生させる。
振動板には、軽量かつ機械的な強度、ヤング率、適度な内部損失のある材質が求められる。具体的にはパルプ、パルプに種々の材料を混漉したもの、ポリプロピレンなどの高分子素材、アルミやチタンなどの金属、ポリエステルや絹、アラミドやカーボンなどの繊維を編んだもの、などが使用されている。
振動板の構造にはドーム型、コーン型、平面型等があり、機械インピーダンス整合による能率拡大のために前面にホーンを設けることもある。
実際に音を出すために
コーン(皿)型のスピーカーユニット単独では、放射された空気振動のうち低域はコーン紙の前後で逆位相になるため打ち消しあい、低域が十分に再生できない。このため、コーン紙の片側だけが直接外気と接するような箱(エンクロージャー)に収容して使用する。
スピーカーには、人間の可聴域(おおよそ20~20000Hz)を一つのスピーカーユニットで可能な限りカバーできるように設計された「フルレンジスピーカー」(中音域を中心に低音域と高音域の特性を確保)と、可聴域をいくつかに分けて、その周波数域を専用に振動させる目的で設計された、「サブウーファー」(超低音用)、「ウーファー」(低音用)、「スコーカー」(中音用)、「ツイーター」(高音用)、「スーパーツイーター」(超高音用)などがある。
各周波数域専用のスピーカーには、それぞれに独自の形状と材質がある。また、そのスピーカーに合った周波数帯域の信号のみを与えて、より効率よく動作させるために、デバイディング・ネットワークという、コンデンサーとコイルなどを用いた回路が必要になる。帯域分割の数が2個で鳴らすものを2ウェイ、3個を3ウェイ、4個を4ウェイと呼ぶ。
1種類のユニットでは再生可能周波数に制約があるため、高級なスピーカーでは帯域を2から4に分割して再生することが珍しくない。しかしフルレンジスピーカーも、ローコストな製品だけでなく、中音域主体の素直な再生特性を生かした中級クラスにも用いられることがある。
また、2ウェイ以上のnウェイタイプのスピーカーでは、周波数帯域ごとに発音体の位置が上下にずれるため、音像定位が乱れやすいという問題があり、このため同軸型と呼ばれる、周波数域の異なる磁気回路を2組同一軸線上に配した2ウェイ型スピーカーや、仮想同軸型と呼ばれる上下対称にウーファー等を配置したスピーカーが存在する。
一般的なコーンスピーカはグラム単位の質量を有するコーン紙を動かすために、%オーダーの極めて大きな歪を発生する。
■EIAJ
日本電気工業界(Electronic Industies Association of Japan)の略称で、電気製品の規格制定、技術に関する調査と企画立案、統計資料の作成などを行なう。日本国内の電子機器関連企業のほとんどが参加している。
■位相
本来は、正弦波の1周期(0 ~360 度)における波形の位置を示す言葉。が、通常は、位相ずれ(歪み)のことを指す。位相が合っていないと、音像フォーカスがシャープに結ばれないし、きれいな音像も再現されない。
■インピーダンス/Ω
ごく簡単にいうと抵抗値。ユニット単体ならボイスコイルのインピーダンスのことを指すが、多くの場合スピーカーシステム全体のインピーダンスのことを指す。周波数が低くなるにつれインピーダンスは下がってゆく。
■ウーファー
低音域を再生するユニットのこと。ほとんどの場合、コーン型が使われている。ちなみに、5.1ch 再生でおなじみのサブウーファーは、ウーファーよりも低い音の再生を受け持つユニット、またはシステムのことを指す。
■S/N
Sは「シグナル(信号)」のことを表し、Nは「ノイズ(雑音)」のことを表す。電気信号の中に含まれる必要な信号(S)レベルと、不要な雑音(N)レベルの比率を指し、dBで表示される。数値が大きい方が好ましい。
■エクロージャー
スピーカーユニットを収めるキャビネットのこと。スピーカーユニットの後ろへ漏れる音を遮断したり、低音を豊かにする等の働きをする。密閉型、バスレフ型など様々なタイプのものがあり、使用される素材も様々だ。
■感度(dB/W /m )
「能率」「出力音圧レベル」ともいう。通常、1W(あるいは2.83V )を入力し、どれだけの音響エネルギー(OdB)が取り出せるかを指す。mは無響質にてスピーカーから1m 離れた位置にマイクを置き測定したという意味。
■許容入力
このレベル以内なら正常な動作を保証しますという限界値。定格入力と最大入力がある。定格入力は連続の値、最大入力はピーク値(瞬間)を示す。それ以上の入力(過大入力)を与えるとユニットが破壊されてしまう。
■クロスオーバー周波数
マルチウェイシステムでは、それぞれのユニットがある帯域を担当している。その受け渡しをどこでやっているのかを示すのがクロスオーバー周波数だ。帯域分割の仕方で、システム全体がわかることもあるスペックだ。
■コーン型
コーン(円錐)型の振動板を持つユニットのこと。ダイナミック型スピーカーを代表する形式でありウーファーはもちろん、スコーカー、トゥイーター(これは数が少ない)に至るまで、実に幅広く使われている型式だ。
■指向性
音の広がり具合を表す言葉である。指向性の狭いスピーカーは、ある範囲でしかステレオ効果が得られないのだが、指向性の広いスピーカーではリスニングエリアが広がるので、どこで聴いてもOKということになる。
■スコーカー
マルチウェイシステム(3ウェイ以上)で、中域を受け持つスピーカーユニット。ミッドレンジユニットともいう。中域はセリフはもちろん音が臭いせいのキモとなる重要な帯域であるから、スコーカーの責任は重大である。
■周波数特性
スピーカー(またはアンプ)を通過した周波数レベルのことで、たとえば20~20,000Hz+OdB、OdBと表示される。もちろん、その周波数帯域内ではフラット(平坦)な特性である方が音質的には望ましい状態を示す。
■スピーカーネットワーク
正確には、デバイディングネットワークという。パワーアンプからの信号(フルレンジ)帯域分割し、ウーファーには高域をカットした信号を、トゥイーターには低域をカットした信号を送り込むための回路のこと。
■ストローク
振幅のこと。主にウーファーに使われる用語。ロングストローク型とショートストローク型があり、前者は振動板を大きく動かすことで量を出そうとする。後者は振幅を抑えてクイックな反応を狙ったユニットのことである。
■ダニナミックレンジ
通称Dレンジ。スピーカー(に限らず)が再生できるできる最大レベル(ピーク値)と最小レベルの比。この値が大きい方が、ダイナミックな再生ができる。最近はCDもハイビット化され、ソフトのDレンジも拡大している。
■ドーム型
振動板が半球(ドーム状)なのでこう呼ばれている。そん形状からきれいな球面反射をするため、トゥイーターに多く使われている。振動板材質の違いで、金属系はハードドーム、布や樹脂系はソフトドームと呼ばれる。
■同軸型
ウーファーの中心部にトゥイーターを配置した、複合型のユニット。すべての音が一点から出てくるため、音像定位に優れるという特徴がある。2ウェイ構成の製品がほとんどだが、稀に3ウェイの同軸ユニットもある。
■dB
2つの数値の差を表す単位。そのままの値を使うと桁数が多くなり過ぎるので、dB表示が使われる。電力(スピーカーやパワーアンプ)の場合は2倍-3dB、10倍-10dBとなり、電圧では2倍-6dB、10倍-20dBとなる。
■トゥイーター
高域を担当するユニットのこと。SACDや96kHz /24ビットソフトの恩恵をフルに享受するには、スピーカーも100kHzまでの高域再生能力が求められているため、今後ますます脚光をあびることになりそうなユニットである。
■バスレフ型
スピーカーユニットから出る低音の位相を反転させることで、低域を増強するエンクロージャー。位相反転型とも呼ばれる。バスレフダクト(ポート)の直径や長さによって、どの周波数が増強されるかが決まる。
■バイワイアリング
ネットワークの低域側、高域側にスピーカーコードをそれぞれダイレクトに入力する接続法。もう一組のスピーカーケーブルが必要になるものの、音の鮮度感が高く、音場感のワイドな再生音が得られるメリットがある。
■バナナプラグ
抜き差しの簡単なプラグ。その形状からバナナと呼ばれてはいるが、バナナのように反っているわけではない。多くのスピーカーに使えるが、大音量時に抜けてしまうことがあるので、ロック機構の付いたものを選びたい。
■防磁型
スピーカーからの磁気漏れがブラウン管に影響し、画面上に色ズレをもたらしてしまう。そこで、磁気漏れのないスピーカーが求められるようになった。磁気回路をシールドしたりキャンセリングマグネットを装着する方法がある。
■ボイスコイル
スピーカーユニットのコイル部分。磁界(磁気回路)の中に収まっており、一方の端が振動板に直結される。入力された電気信号がボイスコイルを動かし、その動きが振動板に伝わり音響エネルギー(音)に変換される。
極薄の金属箔(リボンのように見える)を振動板に使ったユニット。トゥイーターに用いられるケースが多い。振動系が軽いため、トランジェント(過渡特性)に優れ、繊細かつ微妙な音が得られるという特徴がある。