B-CAS方式によるDRMに限った話ではないが、暗号通信はその性質上、第三者が監視することは困難である。
暗号は、破ろうとすれば、優秀な技術者等によって破られる可能性があるが、B-CASのように著作権保護を標榜する暗号を破った場合、技術的保護の解除を禁じた著作権法違反に問われる可能性がある。デジタルミレニアム著作権法(DMCA)においてもDRM破りは禁じており、歴史的な悪法と批判されるものでもある。また、DMCA施行後は米国においてもDRMを盾に独禁法違反逃れを始めとした様々な形での悪用が絶えず非難される状況である。昨今では消費者の権利意識とともに悪用されることを問題視しDRM自体に対する反対運動が起こっている。
放送に暗号を用いた場合の問題可能性
これらはあくまでも技術的可能性の話であり架空の話である。テレビ放送で暗号を悪用すると、多くの視聴者から放送業界全体の根幹に関わるほどの反発を招くのは必至であり、B-CAS社や報道各局がDRMを悪用した(もしくはする予定がある)ことがあるということではないということを理解した上で、以下の説明を読んでいただきたい。
極論となるが、B-CAS方式の暗号放送下にてB-CAS社が全く信用できない、または放送局が信用できないと仮定した場合、第四の権力であるマスコミの監視や暴走を止める手段を失うことに繋がりかねないとされる。
これは国家の存亡にも関わりかねない波乱要因になると考え問題視する向きもあるが、公的な場で議論された様子はない。
また、放送業界の「著作権を口実にすれば何だって許される」とする傲慢な風潮を危険視し、使い方によっては凶器になりかねない暗号による放送を安易に許すべきではないと考える向きもある。また、著作権法上問題のない引用に対し、著作権を主張する事例もあり問題視されている。
偏向報道を、証拠を残さず行える可能性
誰でも放送内容を監視できる場合、偏向報道を行えば世界中の誰かに録画され、その録画物は証拠となり批判を免れない。であるがDRMにより暗号化され監視できない場合は局側が意図しない形で証拠を残すことが難しく、偏向報道の歯止めを失うとする説である。
しかし、目撃証言でも証拠になるので杞憂に過ぎないと指摘する向きもある。が、莫大な個人情報を元にターゲットを厳選することが可能なB-CAS社の場合、杞憂では済まされないと考えられる。
偏向報道を、ピンポイントで行われる可能性
より確実に悪意ある報道で世論形成などの目的をを達成するためには、「ターゲットだけに悪意報道を見せる」、もしくは「ターゲットだけには悪意報道を見せない」とする方が賢いと考えられる。
DRMで囲い込んでしまえば経路は全て暗号であり誰かに監視される心配はなく、悪意のある報道を見せる相手を的確に選択すれば最大限の効果を得つつ批判を受ける心配もしなくて済むと考えられる。
ターゲット選定にあたってはB-CASのユーザー登録による巨大な個人情報データベースがあり、これを悪用することで十分に可能と考えられる。
悪意を「テロップ」で見せられる可能性
「登録されていないB-CAS IDに対しては、連絡をするようテロップで表示している」NHKの実例があることから、容易に想像可能な悪用である。
周辺国から危険視される可能性
隣国の公共性の高い放送(もっぱら地上放送)で何が放送されているかは近隣諸国とっては興味の対象であり、自国の安全保障にも関わるので当然の話である(日本においても朝鮮中央放送等の報道内容は頻繁に取り上げられる)。しかしながら、B-CASというシステムの実際は暗号放送そのものであり、視聴には「B-CASカード」が必要である。ところがB-CASカードは国外持ち出しを禁じており、近隣各国は日本で何が放送されているのかを現実的に知る術を失うこととなる(※現実にはB-CASの約款も他の国家には無視されると予想されるが、著作権保護を口実とした厳格な送信制御などもあり、アナログ放送傍受のように容易ではないことが予想される)。そのため、周辺国には日本のテレビ番組を見ることができず、何を放送しているか分からない国に対して周辺国が疑心暗鬼になってしまうのは当然と考えられるとする向きもある。
反面、日本には各国の大使館やそれに代わるものがあり、これは考え過ぎといわざるをえないとする向きもあるが、大使館等では人員も限られており、B-CASの存在が監視活動に対し大きな障壁となることは言うまでもない。
上記のことから、日本に対して敵対意識を持つ国から、B-CASの存在を盾に知らないふりをして攻撃の口実にされてしまうことも懸念されかねない。特に歴史的経緯から日本を危険視している周辺国を抱える我が国にとって、B-CASによる囲い込みは安全保障にすら影響を及ぼしかねない重大な問題であると考える向きもある。
また、何者かが意図的にB-CASに関わる技術情報を諸外国に漏らすような事があれば、傍受以上の問題が発生する可能性を指摘する向きもある。B-CASに関わる技術情報は厳重に管理されているとはいえ、管理しているのは人間である限り、決して万全とは言えない。近年、個人情報などが外部へ流出するなどのトラブルも相次いでいるので、B-CASに関わる技術情報が諸外国を含む外部へ流出する可能性も決してゼロではない。さらに、国外持ち出しを禁じているB-CASカードを、諸外国へ密輸する業者が現れる可能性も絶対に無いとは言い切れない。
B-CASに掛かる企業秘密が国外に流出した場合、同カードとともに解析され、ひいては「タダ見チューナ」のような「タダ見カード」のようなものを開発されかねないとする向きもある。外国には日本の法権力が及ばず、ましてB-CAS社との約款が尊重されることも考えられないため、解析に掛かる摘発リスクは存在せず安心して解析できると考えられる。B-CAS方式に対する視聴者の不満の高さゆえか、B-CASに掛かる不正商品はネットオークションでも人気商品であり、市場性を持つものと指摘する向きもある。市場性の大きさ故、利益目的で解析を試みるものは少なからず存在すると見られ、結果的には無料放送を囲い込むために行ったコピーワンス規制が有料放送の屋台骨すら揺るがしかねないと指摘する向きもある。
これらはいずれ問題になると考えられうる事例だが、現時点で議論されている様子はあまりない。これらの懸念を払拭し、諸外国からの猜疑心を低減するためにも、公共性の高い報道番組をDRMなどにて暗号化することは避けるべきだという意見もある。 仮に、放送をDRMで暗号化することが禁じられていれば常に衆人環視による抑止力が働くと考えられ、放送局が暴挙に及ぶことは相応の覚悟が必要となる。
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