S端子

S端子

S端子(エスたんし)はテレビ受像機やビデオテープレコーダなどで用いられる映像信号入出力用のコネクタの規格のひとつで、SはSeparateの略である。
概要

端子配列:1:GND(Y),2:GND(C),3:輝度信号(Y),4:色信号(C)NTSCなどのコンポジット映像信号を輝度信号(同期信号も重畳)と色信号の2系統に分離(Separate)して伝送することからこのように呼ばれる。家庭用ビデオテープレコーダでは輝度信号Yと色信号Cを分離(Y/C分離)し、色信号を低域変換したうえで記録する方式が採用されている。このため記録・再生の過程で両者の分離・合成を繰り返すことで信号の劣化が進むことから、S端子で接続するほうがより良好な画質で視聴可能となる。

色信号は本格的なコンポーネント映像信号のように Cb/Cr などに分離したものではなく、両者を直交変調した形態である。これはNTSC規格の色副搬送波と同等であるため、単にYとCを混合すればコンポジット信号が得られる。

Y/C分離のYはYxy表色系で明るさをあらわすYから、またCはギリシャ語で色彩をあらわすChromaからとられたと言われる。

当初は1987年1月に日本ビクターから発表されたS-VHSの規格発表時に同時に発表されたもの。これにVHS5社連合が歩調を合わせ、各社がビデオデッキテレビに搭載を始めた。S-VHS以降の高解像度ビデオ規格にはこのS端子がほぼ標準で搭載されている。

通常のVHS、ベータ方式は、Y信号がC信号の帯域まで伸びておらず干渉が少ないため、従来のコンポジット端子でもほぼ画質を損なうことがないとも言われている。しかし、Y/C分離されて記録されたものをコンポジット出力して、再びY/C分離することによる信号劣化を考えると、S端子の使用が望ましい。 このため、ダビング時においては、S端子を搭載していない通常のVHS、ベータのデッキは、あまりお勧めできない。

なお、初期のテレビには「S-VHS端子」と記載されているものもあったが、これは表記が異なるだけである(ED-BetaやHi8などでも使用可能)。また、「S端子の『S』はS-VHSのSである」と言われることもあるが、由来はともかく、定義上は誤りである。

拡張
オリジナルのS端子のほかEDTV-IIやダウンコンバートしたHDTV映像などアスペクト比16:9、いわゆるワイドテレビ対応の信号を追加したS1およびS2端子も定義されている。識別信号の伝送はオリジナルの色信号Cに直流電圧を重畳させることで識別を行うように決められている。識別できる信号は端子側の対応による(後述)が、最大3種類までを識別できる。なお、伝達にはC線を用いているだけなので、使用ケーブルの対応区別はない。

S1端子
4:3映像と16:9映像の判別が可能。流れる映像信号はNTSC準拠なので、16:9映像の場合は左右に圧縮し4:3になっている。その信号(16:9映像の識別情報はスクイーズ信号ともいう)を受けた対応テレビ側は、再び左右方向への引き伸ばして表示する。
S2端子
S1信号の4:3映像と16:9映像に加えて、16:9映像の上下に帯を付加して4:3にしたレターボックス信号(LB信号)の識別が可能。LB信号を受けた対応テレビ側は、横方向を16:9サイズにズームした上で上下の帯をカットして表示する。
本来C線は直流信号を伝送するつくりにはなっていなかったため(交流結合)、判別機能を備えない映像機器を経路の中間に挿入することで識別が不可能になる。この欠点を克服するために、垂直帰線期間内の映像信号に特殊な識別信号を重畳させているものもある(「ID-1」)。

S端子の形状は基本的にmini DIN 4pinだが、よりピン数の多い特殊なものも存在する。 4ピンのものでも、オスコネクターの外側に出っ張りが有る物が日本国内では一般的だが、メスコネクターの仕様によっては、それが挿入出来ない事があるので注意が必要である。